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2023.6.16メッセージ 開業10年目に寄せて ふなくし皮膚科クリニック院長 舟串直子

こんにちは。ふなくし皮膚科クリニックの院長、舟串直子です。
2014年に三郷でクリニックを開院しました。地域の皆さま、スタッフ、家族、友人の支えのおかげで、開業10年目を迎えることができました。この節目の年に、私が医師になり、この地にクリニックを開業した理由についてお話ししたいと思います。

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“厳しい父”という大きな壁が学ぶ楽しさに気づかせてくれた

私は転勤の多い公務員の家庭に生まれ、幼少期は北海道から九州の佐賀県まで移り住む機会がありました。父親は厳格な人で、何をするにも反対されることが多く、理論的な説明を求められることもありました。当時は父親の厳しさに疑問を持つこともありましたが、大人になってからは、私たちの将来を真剣に考えてくれていたのだと理解しました。

父親は日常の会話の中で歴史や地理、政治などについて多岐にわたる話題を提供してくれました。兄と私は父親からたくさんの知識を受け取りましたが、その大部分は受け止めきれなかったかもしれません。しかし、知識が増える楽しさや自分自身で考えることの重要性については、父親が教えてくれたことです。
父親の厳しさに対して、母親は兄と私をサポートし、優しく見守ってくれました。彼女の温かい眼差しがあったおかげで、父親の教えを前向きに受け入れることができたのだと思います。

友と過ごした6年間、自然と医学の道へ

私は中高一貫の女子校に進学し、カトリックの教えのもとで女性の自立と社会貢献について考える機会がたくさんありました。「能力は自分に与えられたのではなく世の人々のために使うよう与えられたものである」という学園の教えは、今でも私の根底に流れています。
同じ環境で6年間を過ごした仲間は、それぞれに個性的で、楽しいことも苦しいことも共に乗り越えてきました。今でも、迷ったとき真っ先に思い浮かぶのは、当時助け合った学生時代の友人たちの顔です。

医師を志すと決めたのは中学3年の時だったでしょうか。中高一貫校で少し早めの文理選択を迫られた際に意識し始めました。自然や生命に興味があり、周りに理系に進む友人が多かったこともあり、医学部を目指したと記憶しています。

人の支えなしに医師にはなれないから「社会に還元していきたい」

医学部に進学後も、同じ志を持つ仲間と授業や実習など、たくさんの課題と試験を乗り越えてきました。
医師国家試験の合格率は8割と一見高いのですが、そこにたどり着くまでにいくつもの関門があります。医学部では、定期試験の結果が進級に大きく影響します。授業も中学生や高校生のように朝から夕方までぎっしりです。医師になれば基本的に自分の専門とする科の診療に特化しますが、学生はすべての科の勉強をするため、医学にどっぷり浸かった6年間を過ごしました。
医師になった今は、患者さんを目の前にするときに「私の判断がこの方の将来を左右するかもしれない」という重いプレッシャーを感じます。学生の頃は、純粋に知識を得るための勉強に集中できた貴重な時間だったと思います。

広く知られていないかもしれませんが、医師を育成するためには学生からの学費だけでなく、大学に多くの助成金が使われています。また、医師を目指していた友人の中には、途中で諦めざるを得なかった人もいます。
自身の努力だけでなく、多くの人々の支えがあって医師になれた私は、すべてを背負い、周りの方々への感謝を忘れず、これまで学んだことを社会に還元していきたいと考えるようになりました。

 

2014年、ふなくし皮膚科クリニックを開業

開業を目指したのは、内科での研修を終えて皮膚科への転科を決めた時でした。皮膚科は開業している先輩も多く、早くに開業することで地域医療に最大限貢献できる科ではないかと考えました。
開業前の1年間は順天堂大学医学部附属練馬病院で科長の経験をさせていただきました。教授の定年退職のタイミングで引き継ぎを行い、バイタリティ溢れる教授のご指導のもと、何とか職務を全うしました。1年という短期間でしたが、科をまとめる立場を任されたことは、非常に貴重な経験でした。
そして2013年、8年在籍した順天堂大学を退職し、翌年「ふなくし皮膚科クリニック」を開業しました。

愛着と地域医療、三郷に開業した理由

「生まれ育ったわけではない三郷の地に、どうして開業したのか?」とよく質問を受けます。これは、ご縁があっての巡りあわせであったと思います。
開業の場所を決める際、幼少期を父の転勤で転々としていた私は、“ここが地元”という感覚が薄かったこともあり、漠然と「自分が一番必要とされているところに行きたい」と考えていました。
以前、近隣の三郷順心総合病院(現・三郷中央総合病院)に勤務したことがありましたので、三郷には土地勘がありました。愛着も持っていましたので、候補地の一つとして考えていました。
そんな折、タイミングよく隣の内科の先生のお声がけがあり、この土地に呼ばれたように感じたのです。
何より、三郷中央駅の周辺エリアには皮膚科が少なく、私がこの地に開業すれば、地域医療に貢献できるのではないかという気持ちが最後の一押しになったように思います。このような経緯で、三郷での開業を決断しました。

image2メッセージ 開業10年目に寄せて ふなくし皮膚科クリニック院長 舟串直子

 

皮膚科・アレルギー科を併設

私は皮膚科医としての診察の中で、何度もアレルギー科としての診察が必要な場面に遭遇してきました。例えば、アトピー性皮膚炎や花粉症は、アレルギーとの関連が非常に深い疾患です。特に花粉症は私自身もひどい症状で、根本的な治療を求めていました。

もともと開業時からアレルギー科を標榜しており、さらなる知識を身に付けるため、2015年に日本アレルギー学会の専門医の資格を取得しました。これにより、より専門的な診察が行えるようになりました。
当クリニックでは、AGAや脱毛、レーザー治療などの自由診療も行っています。また、保険診療においても、新薬や新たな治療法の導入など、常にアンテナを張って積極的に取り入れ、患者の治療の選択肢を広げるように心がけています。
なぜなら、皮膚の疾患は命に直接関わることは少ないものの、発症が目に見える部分に起こると、他人から指摘されたり、ご自身が気にされたりすることで、疾患が体に与えるダメージだけでなく心にも傷を負ってしまう方もいらっしゃるからです。患者さんの状況や心情に合わせた治療方法を一緒に考えています。

患者さんのストーリーは、病歴を知るための貴重な情報源

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時折、長く疾患とお付き合いされている患者さんが初診時に、どのような症状から始まったのか、どんな治療を受けてきたのかなど、これまでの病歴を詳しく書いて持ってきてくださることがあります。
診察において、患者さんの情報は何よりも重要ですので、紙に書いて持ってきてもらえるのは非常にありがたいことです。
3日前に始まった風邪なら、患者さんは経過をほとんど覚えていらっしゃいますが、「これまでの10年間の病歴を5分で簡潔に伝えてください」と言われても、説明は容易ではありません。症状や発症部位、期間も様々ですので、医師側としても、限られた診察時間の中で的確に質問し、診断や治療に必要な情報を把握するのは難しいことです。
紙に書いて持ってきていただいた情報は、診察時に確認して隅々まで目を通し、その後の治療に活かしています。

 

公私ともに訪れた試練を乗り越え、決意を新たに

開業10年目を迎えられたというと、順風満帆のようにみえるかもしれませんが、開業後、ずっと順調であったわけではありません。

2014年開業当初は、機械の選定や新薬の採用など、大きな病院と違って全て自分の裁量で何でも決められる自由を感じていました。一方で、誰にも相談できない孤独も感じるようになりました。そんな時に、心の拠り所になってくれたのが、一つ年上の兄です。
ちょうど同じ時期に行政書士事務所を開業した兄は、業種は違えど良き理解者の一人として、時には愚痴を聞き、相談にも乗ってくれました。年子の兄とは、幼い頃はケンカもしましたが、いつも味方でいてくれ、なんでも言い合える一番身近な存在であったように思います。
開業した年の12月、互いに励ましあいながら慌ただしい日々を送っていたさなか、不幸な知らせが舞い込みました。兄が脳出血で倒れ、そのまま他界したのです。突然のことで、その喪失感は非常に大きなものでした。

そして3年前、今度は私自身の乳がんが発覚しました。患者の立場になってみて身にしみたのは、スタッフや家族、友人だけでなく、クリニックに訪れる患者さんにも、私は支えられていたのだということです。

当クリニックをかかりつけにしてくださっている方々には、急遽休診にせざるを得ず、多大なるご迷惑をおかけしてしまうため、病名は隠さず、すべて公開しました。すると患者さんや近隣の先生方までが、口々に励ましやお見舞いの言葉をかけてくださったのです。皆さまの温かなお気持ちに触れて、病に立ち向かう勇気をいただき、無事手術を乗り越えることができました。入院のため2週間休診にさせていただきましたが、復帰後は幸い再発もなく経過観察となっております。

image4メッセージ 開業10年目に寄せて ふなくし皮膚科クリニック院長 舟串直子

 

身内に不幸があっても、自身が病に見舞われても、クリニックを存続させ、日々診療を提供し続けることは、容易ではありません。
しかし、どんな時もクリニックが開かれていることが患者さんにも地域の皆さまにも、とても大事で必要なことだと、改めて思いました。
私にとっても、命あってクリニックでの診察を続けられることが心の支えとなっています。継続こそが地域貢献につながると信じ、三郷の皆さまとともに歩んでいきたいと考えています。

また、開院当初から訪問診療にも力を入れています。高齢者施設での診察や、ご依頼があれば個人の患者さん宅への往診もしています。
勤務医の頃からの希望として、地域医療への貢献がありました。地域には病院に行きたくても様々な理由で行けない、などお困りの方がいらっしゃいます。クリニックの中で待っているだけでなく、自ら足を運んで、ひとりでも多くの方の役に立てるよう、日々精進していきたいと思っています。

こうして10年目を迎えることができるのも、自分一人の力ではなく当院のスタッフ、家族に支えてもらえたからだと思います。そして通院してくださっている患者さんにも、いろいろな意味で支えられました。改めて皆さまに感謝申し上げます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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